あかい、ばらは、あいの、あかし





香 し き は





真っ白なバスソープに、ちらほらと深紅の花弁が浮かんでいる。
イギリスが丹精篭めて育て、俺の為に選り分けてくれた、美しいバラではなく、たくさんの人達から贈られた、紅い、バラ。
どれもみな美しく勿体ない、と思うけど、そのバラで彩られたバスタブの俺の向にいるイギリスが、楽しそうに花弁を手で掬ってはちゃぷん、と零して遊んでいるので、まぁいいか。

「何ぼーっとしてんだよ」
「んー…イギリスをどうやっておいしくいただこうかなって」
「なっ…ばかじゃねぇの!」

視線に気付いてか、顔をあげて問うてきたイギリスに、脂下がった顔で軽口を返せば、ただでさえ上気していた頬が赤く染まり、まるで湯舟に浮かぶバラの花弁のようで。
かわいい、なんて素直に思うのは間違いじゃないはず。
へら、と頬を緩ませれば、イギリスに脇腹を蹴られる。

「ちょっと坊ちゃん、痛いんだけど」

大して痛くはなかったが、わざとらしく訴えれば、ふん、と顔を逸らされてしまう。
本当に足癖が悪いんだからと、湯舟に隠れたイギリスの足を捜し、ふくらはぎを撫でる。
ぱしゃん。
大きな音をたて、バスタブから湯がこぼれ落ちた。
あーあ、とそれを眺め、イギリスに視線を移した。
イギリスは、びくっ、と足を自分の方に引き寄せたままの状態で、俺のことを射殺さんばかりに睨んでいる。

「そんなこわい顔しないの」

ね、と今度は逆の伸ばしたままの足をきゅ、と掴み、逃げていかないように力を篭める。

「っやぁ……」

どうにか引き寄せようとイギリスはもがくが、ひょいとその足を持ち上げてしまえば不自由な体勢にイギリスは暴れるのを止めた。
お湯とバスソープがするりと滑り落ちて現れた滑らかなイギリスの足の甲にちゅ、とリップ音をたて唇を落とす。
ひくり、と身を跳ねさせたのが湯にも伝わり、新たな波が立った。

「イギリス…」

足を掴んでいた手をするすると太股の際どい場所まで滑らせる。
肉付きの悪いイギリスの数少ない触り心地のいいそこを、ゆるく力を加えて掴む。
恥ずかしさとまた別の感覚に身を捩ったイギリスに近づき、俺の目の前には赤く染まったおいしそうな顔。
じっと至近距離で見つめてるからか、どこに視線をやればいいか困っているイギリスの目がきょろきょろ動き、たまにちら、とこちらを見る。
それに、かわいい、と唇の動きだけで告げ、反論しようと口をあけたイギリスの唇に自分のそれを重ねた。



つぷり、と第一関節まで埋め込んだ指でやわやわと内壁を揉むと、鼻にかかったような甘い声をあげて、膝の上に乗っているイギリスは、俺の首の後ろに回した腕に力を込め、そのせいで俺の頭は抱え込まれてしまった。
異物の挿入の嫌悪感と圧迫感に、はぁ、とイギリスは熱い呼気を吐き出し、それが俺の耳をくすぐって、その艶っぽい所作に自ずと気分が上がってしまうのは仕方ないだろう。

「いーぎーりーす」
「やっ…」

背筋をつつ、と撫で上げればぎゅ、と巻きついていた腕が俺の肩を押して距離を取ろうと正反対の動きをし、背を弓なりに反らせたが、空いていた手をイギリスの腰にまわし引き寄せる。
意図せず、反らされた胸が目の前に迫り、まだ芯を持っていない胸の飾りがアップで映った。
イギリスのナカに埋め込んだ指は相変わらず解すように動かしているせいで突っぱねているイギリスの腕は小刻みに震え、声を出すまいと必死に唇をかみしめて目を閉じているイギリスにはこの体勢がどれだけ俺にうれしいものかわかっていないようだ。
により、とよくない笑みを浮かべるがもちろん目を閉じているイギリスには見えていない。
好都合。
ナカに挿れた指の動きは変えず、ゆっくりと顔をイギリスの胸の飾りに近づけ、ちゅ、と軽くキスをする。

「ひぁっ、なにすっ…」
「んー、かわいがってあげようと思って」

驚いたようにイギリスは目を見開き、肩を掴んでいた手に力を込めた。
だが離れるのを許さないように腰にまわしていた手を背中の中ほどまで引き上げ、しっかりと固定する。

「もっ、離せって…」
「いやぁだ」
「ふざけっ…んっ、ぁあ…!」

せっかくの甘い空気に不似合いな暴言止めるにはやっぱり実力行使、と今度はしっかりと胸に吸いつき、ぷつん、と控えめに主張をしている粒に舌を這わせる。
ぬるぬると舌を擦りつけて粒を刺激し、ちゅう、と強めに胸を吸い上げるたびにイギリスは大袈裟なくらい肩を跳ね上げ、甘い声をあげた。

「ぁん…ん、胸…、やぁ…ぇ…」
「えー…、気持ちいいでしょ?」
「よく、なぁ…っぁ…」

よくない、って言われても、頬を真っ赤に染め翠を潤ませた目を見ればそんな嘘簡単に見破れるし、そんなのなくてもいいかどうか、なんてわかるくらい長い付き合いだ。
イギリスがただ照れているだけ、っていうのもわかっているけど、なんというか…素直にならなかったお仕置き、みたいに柔く胸を食んでやる。
その刺激にイギリスは素直に身を震わせ、甘い声をあげた。
だがその瞬間、肩を掴んでいたイギリスの手から力が抜け、俺にとってはいいことに、イギリスの力の抜けた体が俺に凭れかかってきた。
それに慌ててイギリスは体を起こそうとするが、逆側の胸に吸いつくと再び力が抜けてしまったみたいで。

「っ…いい、かげんっ…はな…せ…ゃっ」

顔をさらに真っ赤にさせて抗議するイギリスの鼻先にちゅ、と唇を落として。
にこぉ、と笑いながらイギリスの体が凭れかかったおかげでわかった(いやその前から気づいたけど)、イギリスの快感に素直に反応しているそこを緩く握る。

「こっちは素直に反応してるね」
「あぁっ…、うるせ、ぇ…、ばかぁっ…!」
「あー…でもお湯の中だからどれくらい濡れてるのかわかんないな」
「っ、何いって…ぁ、」

いいながら先端から根元にかけてを撫でればびくり、とそこが震えた。
いつもならぐっしょりと先走りを溢れさせているそこも流石にお湯の中ではよくわからず、けれどイギリスの表情を見ていれば限界が近いことが窺える。
舌で胸の突起を転がしつつイギリス自身を扱いていると、ゆる、とナカの抵抗が少なくなった。
これならもう一本、と指を増やし、中ほどにあるしこりを狙って擦りあげる。

「ああ、んっ…もっ、ダメ…ぇっ…!」
「ん?イっちゃう?」
「んー…、んっ…」

こくこく、とイギリスはかわいらしく首を縦に振るが、射精を堪えようと足や体のほかの部分に力が籠っている。
あまりにも強張ってしまったイギリスの気を逸らそうと胸をいじっていた唇をイギリスの唇へと重ね、口腔を嬲る。
喘ぎで息も絶え絶えだったはずのイギリスは、俺が侵入させた舌に絡みついて吸い上げ、自分が苦しい時でもそうやって十分キスの巧さを披露するんだから流石だね、なんてどうでもいいことを考えてしまった。
ぎゅう、と必死に腕を俺の首にまわし来る快感に備えようとしているイギリスの期待に応えるべく、ナカを攻め立てている指の動きを速め、先端の孔をぐり、と引っ掻いた。

「んっ…む、ぅ…!」

いつもなら甲高く上がる声は俺の口内へと消えてしまったが、くぐもった声に唇を開放すればお互いの唾液で濡れた唇が淫猥で、そこから目を離せなくなる。
はぁはぁと荒い息をつくイギリスの上下している胸には、さっきまで弄っていたせいでまだ鮮やかに残っている赤い痕がちらほら。
イギリスの白い肌に映えるその赤は、バスタブの乳白色の湯に浮かぶバラの花弁のようで。
それに容易く煽られ、数多に浮かぶバラの花弁のようにいくつも痕を残そうか、と鎖骨や耳の後ろなど服で隠せなさそうな際どいところに唇を落とす。

「あっ…ばかぁ、んなとこに、痕、残すな!」
「った…、いいじゃん別に」
「お前はいいかもしんねぇけど…こんなの誰かに見られたら…」
「えー、今更…」

イった余韻でぼう、としていたのに、イギリスは俺が痕を残している場所に気がついて髪の毛を引っ張って抗議してきた。
誰かに見られたら…なんてほんとに今更だし(っていうか、もう周知のことだろう)、そんな初心がられても…。
懲りずに続けようとすれば髪の毛が抜けるんじゃねぇの?っていう勢いで引っ張られたのでおとなしく止めて。
もうだいぶ蕩けさせたナカから指を引き抜き、臨戦状態の自身をそこに宛がう。
すれば強気だった顔が一変して不安そうな、若干の期待のこもった表情を見せるからがっつかないように自分にくぎを刺す。

「挿れてもいい?」

くぷ、と先端だけ潜り込ませ、一応イギリスにお伺いを立てる。
まぁこの状態でやだ、って言われたら困るけど、そしたらイギリスが、もっ…挿れろよ…ばかぁっ…、と顔を真っ赤にして涙目になりながら強請ってくるまでぐちゃぐちゃにするだけだし。
とりあえずお返事はー?と待つが、イギリスは口を開こうとして閉ざすのを繰り返すばかりで。
いきなり突っ込めばそれはそれで怒るくせに、きちんと訊ねれば恥ずかしくなって俯いてしまうなんてどこの生娘だろう。
まぁ、すぐに否定の言葉が飛んでこないあたりOKってことでいいと思うけど。
…うん、もうOKでいいや。
潜り込ませた先端だけ締め付けの刺激が与えられて俺自身が保たない。

「なぁ、イギリス、お兄さんもう無理っぽいんだけど?」

駄目押し、とちょっと切なげな声を出し、更に腰を押しつければイギリスが好きにしろばかぁ、と呟くのが聞こえた。
大丈夫、幻聴じゃない。
めるし、とイギリスの唇にちゅ、とキスをして。
埋めていた先っぽを一度引き抜き、イギリスの腰を掴み、浮力を借りて体を持ち上げる。
ぐ、と太いところまでは性急になりすぎないように気を付けながらも押し込み、そのあとは比較的ゆっくりとイギリスのナカに埋め込む。
衝撃を逃がそうと浅く早く息をつくイギリスは、いいところに掠めてしまったせいかふるり、と身を震わせ、苦しげな呼気を吐き出す。
最後はちょっと無理やり押し込んだから、イギリスはその衝撃に眉を寄せ、斯くいう俺も締まる内壁で自身にダイレクトに刺激を与えられて眉が寄った。

「っつ…、だいじょぶか…イギリス?」
「へ、き…だ」

そういうものの変わらず息が荒いままのイギリスに、無理もないか、と苦笑を返す。
もうちょっと落ち着くまで、と動きを止め、背にまわした手を肩甲骨の間の溝や腰のあたりに滑らせ、その感触を楽しむ。
そのたび吐息を震わせ目を伏せるイギリスには色っぽさが漂っていて。
合わせてゆる、とナカも緩んで、ああそろそろいいかな?

「動くからな」

ず、と腰を引けばイギリスはこくこくと頷いて。
それでも最初から飛ばすのも良くないと思い、あくまで単調なリズムで腰を動かす。

「あっ、あっ…んっ」

イギリスの甘い声の合間にちゃぷちゃぷとバスタブからお湯が零れる音が反響した。
声が高くなるとそれに比例してお湯が零れ落ちる音も大きくなり、浮かんでいる花弁は湯に合わせて揺れ、イギリスの胸に肩にキスマークのようにぺたりと張り付く。
ほんと、こいつにはよく映える、と眉を垂れ下げながら薄目を開けて喘いでいるイギリスの顔を見やる。
ほぼ隠されてしまった翠はそれでも快楽に溺れた色を見せ、きれいに潤んだそれに知らず喉が鳴った。

「イギリス…」
「ぁふっ…、ら…す…」

名を呼べば喘ぎながらも健気に呼び返すイギリスの、どこを見つめているわけでもなかった目の焦点がひたりと俺の顔にとまる。
唇は半開きで、まさにキスするための顔、をしたイギリスに、一度腰の動きを止めた。
なんだろう?とイギリスの動きを待てば何やら考え込んでいるようで数秒の間が空き、何をするかと思えばイギリスの顔がどんどん近付いてきて…。


かぷり。


「っ…なにすんの。ぼっちゃん?」
「ぅあ…、うっせ、ばかぁ…」

鎖骨に走った痛みに身を震わせればそれは自身…というか、イギリスのナカにも伝わってしまい、仕掛け人のイギリスとともに互いに息をつめる羽目に。
ばかぁ、って理不尽な、噛みついたのはイギリスでしょ、なんて言いたくもなる。
そう、イギリスに噛みつかれたのだ。
徐々に近づいてきたイギリスの顔に、きっとキスでもしてくれるんだろうと甘いことを思っていた俺の顔をイギリスは避け、そこから少し下の鎖骨の辺りに予想したキスではなく、歯を立てられてしまった。
急に何するんだ、この子は。
おかげでちょっとだけ萎えてしまったじゃないか。
そう恨みがましい目をイギリスに向ければ、赤く染まっていた頬をまたほんのりと赤く染め、俺から視線を外し気味に口を開いた。

「だって…お前に痕残していいのは俺だけだろ」
「え?」
「これ」

意味がわからず聞き返すと、イギリスはべ、と舌を出して。
いつも通りの真っ赤なかわいらしい舌の上には、真っ赤な花びらがのっていて…。


「別に実際の痕じゃないけど、それでも、やだったんだ」


ぷい、と耳まで赤く染め、イギリスはそっぽを向いた。
うん、落ち着け、俺。
つまり、俺の鎖骨に張り付いた赤いバラの花びらがキスマークに見えたっていうことだよな。
んで、お前は俺のもんだろ、俺以外のやつの痕残すんじゃねーよ、っていうこと?
えー…。
ぐるぐるとしょうもないことが頭を回っていて、ツンばっかりのイギリスの急なデレに対応できない自分が恨めしい。

「ちょっともー…」

深く息を吐き出しつつイギリスの腰を掴む。

「そんなこと言われたらお兄さん」


止まらないよ?


「ひぁっ!」

うんと低い、ソレようの声でイギリスの耳元で甘く囁き、イギリスにとっては不穏な一言とともに腰を強く押しつける。
イギリスの悲鳴じみた喘ぎが聞こえるが、そんなの気にしてられません。
もうほんとに駄目だから、お兄さん。
ばしゃばしゃと激しい水音も一向に意に介さない。
さっきは萎えた、なんて言ってごめんなさい。
今はとにかくイギリスの不用意な一言で猛った自身を開放させることが第一だから。

だから。

ちょっとの無理も許してね、誕生日だし。

「あぁっ…もっ、ほん、と…、無理ぃあっ…!」
「うん…、もうちょっと…、ね」
「やぁっ、あっ、あんっ…」



明日になったら…、あ、もう今日か…朝起きたらいっぱい怒られるから、それまでつきあって。







09/08/08
この後結局のぼせちゃったイギリスを慌てて寝室に運んで介抱してあげるフランス(笑)

はい、お待たせしました。
やっと終わりました、フランス誕生日企画。
危うく1ヶ月経ってしまいそうになりましたが、回避できてよかったです。
これも中途半端に長くなってしまい、その割に全然エロくねぇ!という、まぁいつも通りの残念クオリティです。
それでも、ここまでお付き合いくださりありがとうございました。
090808 修正100211



Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!