憂 冷 ここ最近少し気温が高くなってああもう春になるのかな、と思ったがやっぱりそれは甘い考えだった。 現にこうして肌を合わせている最中にも汗は流れるがそれなりに寒さを実感する。 まあ俺の下で喘いでいるイギリスはもうぐちゃぐちゃのドロドロだからそんなに実感していないかもしれないが。 うっすらと涙をにじませる目元に唇をあて顔じゅうにキスを送り、口付ける。 イギリスの唇をしっとりと覆い、肉厚の舌をイギリスの薄いそれに絡ませ合う。 それだけでイギリスの息は上がり、体温は上昇してるようで温かさが伝わってくる。 「んん…、ふ…」 歯列に舌を這わせ上顎を擽るとくぐっもった声が聞こえ、口角が上がる。 もうちょっと、と思ったがイギリスの眉が顰められるのが見え、名残惜しいが唇を解放してやる。 わざと舌を出したままにしていれば銀糸がイギリスの舌と繋がっているのが見え、けどそれはすぐにぷつんと消えてしまう。 もったいない、という考えは一瞬で、呼吸の荒いイギリスの口端に流れた唾液を舐めとる。 そのままの流れで唇にも舌を這わせると、イギリスの瞳が細く開き、盛大に嫌そうな顔をされた。 「そんな顔しないの」 ちょっと傷つくから、と苦笑交じりに言えばうるせ変態、とかわいらしくない言葉が出てくる。 今更変態と言われても…、けどそんなこと言う口は塞いでしまうのに限ると思いさっきよりも浅く唇を合わせながら、緩く立ち上がりを見せるイギリスの雄に指を絡ませる。 びくり、と体を震わせ微かに高い声をあげたイギリスに満足して唇が弧を描く。 先に一度欲を吐き出したにもかかわらず再び熱を擡げるそれの先走りをすくい、双丘の狭間に指を這わせる。 「んぁっ…!」 唇の隙間から僅かに漏れた声に、そろそろ本格的に喘いでもらおうかなと唇を離す。 後ろに這わせた指で蕾を擽り綻ぶのを待つ。 久し振りとはいえ頑ななそこは先走りの滑りだけでは足りないようで、ひくついている入口までしか指は進められない。 ローションの威力に頼ったほうが確実だが、この間切らしたせいで新しく買ったものはクローゼットの中。 取りに行くのもかったるいし、何よりイギリスを放したくない(いや、単に少し肌寒いだけなんだけど)。 どうしようかと思案しつつ、指を口にあてて息を整えているイギリスを見やる。 イギリスの姿にピン、と閃いてにっこりとイギリスに笑いかける。 「イギリスー、お願いがあるんだけどー」 そう言えば最悪に嫌そうな顔で返されたが気にしない気にしない、そんな反応もう慣れた。 人差し指をイギリスの濡れた唇にあて、撫でてやる。 「指しゃぶって?」 「っ、死ね!」 イギリスにマジ声(ドスのきいた)で言われたけど笑顔で対応する。 うん、こんな反応もいつものことだし。 だからこの後の反応も考えて、絶対にイギリスが断れない状況を作ってやればもう俺の勝ち。 「えー、痛いの嫌でしょ?別に痛くして欲しいならそうするけど?」 「……」 「それともお兄さんの舌でぐちょぐちょに濡らしてほしい?」 まぁ、そのリクエストには喜んでお答えするけど!あっ、しないっていう意見は却下だから(お兄さんもう後戻りできない感じだし)! どうする?と訊き返せばイギリスは(怒りと羞恥で)真っ赤になりながらお前ホント最低だよな、と負けを認めた。 半開きの唇に人差し指を押しあてれば、ちゅ、と遠慮がちに吸い付かれた。 「んっ、ん…」 ゆっくりと指を口に含み、舌を這わせ濡らしていく。 イギリスの口内は熱く、ちゅう、と吸い付かれたりわざと舌をひらめかせぴちゃぴちゃと音を立てて愛撫されると、自分自身をイギリスの口に突っ込んでそのままフェラして欲しくなるが我慢我慢。 そんなことイギリスの機嫌が最高にいい時か上手に酔わせた時にしか実行できない。 あーでもやってほしいなー、無理かなー、無理だろ。 期待は所詮期待で終わるのは目に見えているので今日は我慢しよう。 薄く眼を開けて一生懸命に指を愛撫しているイギリスは視覚だけでも十分クるものがあり、濡れた唇がなんとも艶っぽい。 いやいや承諾した割にはその気になってるな、と指をもう一本イギリスの唇に押し付ける。 ちらり、と上目づかいで睨まれても誘われてるとしか思えません! 「はっ…、ふ…」 熱い呼気を吐き出しもう一本のほうにも舌を這わせるイギリスに煽られてるのは事実で。 イギリスの小さい口の中に俺の指二本はちょっと辛そうで(でも俺のを咥えるくらいだからそんなんでもないのかな)、その眉をしかめる表情にちょっと悪戯心が持ち上がり、二本の指でイギリスの舌を愛撫してやる。 「ぅっ、ぁ…」 くにゅくにゅと舌を擦ってやったり上顎を擽ったりと縦横無尽に動く指にイギリスの口は開きっぱなしとなり、口端から唾液が溢れていく。 「イギリス、吸って?」 指を動かしながらお願いすれば、一瞬視線がこっちに向いて意外と素直に応じてくれた。 イギリスの唾液でしどどに濡れた指をじゅ、っと吸われ、ゆっくりと指を出し入れしてやる。 それに合わせてイギリスが吸いついたり緩めたりする動きは正しくアレそのものだが、それはまた後で。 何回か繰り返しているうちにいい加減しっかり指も濡れたし、ちょっと物足りなさそうにイギリスが膝頭を擦り合わせているのでイギリスの口内から指を抜く。 はふぅ、とイギリスの吐き出した呼気は熱く、浅く呼吸をして息を整えている。 「良くできました」 唇の隙間から見え隠れする赤い舌に誘われるように軽く口付け、微笑む。 険しい顔をしたイギリスが文句を言うよりも先に濡れた指を後ろに這わせ、つぷり、と入口に指を埋める。 「ひっ!」 「はーい、力抜いて」 驚いて目を見開いたイギリスを宥め、ゆっくりと指を侵入させていく。 先ほどに比べればやはり滑りよく指が奥まで入っていく。 「ぁ…、んっ…」 やわやわと内壁を揉み解し、しこりの部分を擦ってやる。 「あっ、そこ、やぁっ…!」 「んー好きでしょ、ココ」 イギリスの反応を窺いながら、指をもう一本増やし解してやる。 (この分ならもうちょいかな?) 背が浮くほどにイギリスの腰を持ち上げ、自分の雄を入り口に押し当てる。 「入れるぞ、イギリス」 「ん、んっ」 こくこくと頭を上下させ、俺の首に腕をまわししがみついているイギリスの顔にキスを降らせゆっくりと腰を進める。 肉壁の押し出すような圧迫感を感じ、一気に突っ込みたくなる衝動をどうにかやり過ごす。 耳元でイギリスがあっ、あっ、と小さく息を吐き出しているのが聞こえ、それに煽られ最後のほうの挿入は堪えていた割に性急なものになってしまった。 「っあ…!」 ずん、と押し入った衝撃でイギリスは吐精してしまい、内壁がきゅう、と締まる。 「ちょ、イギリス…」 「あっ、だっ…て、無理…」 その締め具合に眉を顰め、緩めて、とイギリスの下腹あたりを撫でてやる。 ひくり、と下腹が引きつるのが手に伝わり、少し内壁が緩む。 イギリスの額に浮かんだ汗を拭ってやり、張り付いてしまった前髪をかき上げ現れた額に口付ける。 あやしていると内壁が馴染んできて、そろり、と腰を送る。 「動いて平気?」 「いっ、から…、早く…」 どうやら知らないうちにイギリスを焦らしていたようで、イギリスから切羽詰まった声が上がる。 ぎゅ、とさっきより強くしがみ付かれじゃあ遠慮なく、と動き始める。 「あっ、あ、…んっ…」 イギリスの口からは甘い声が引っ切り無しに上がり、それに合わせて腰の動きが速くなる。 結合部からはじゅぶじゅぶと濡れた音が漏れ、部屋にはその卑猥な音と荒い息使い、イギリスの喘ぎ声が響く。 「ぁん…もっ、駄目…ぇっ…!」 「イきそう?」 耳元で囁けば耐えられない、というように頭を横に振る。 口を開きっぱなしにしたイギリスにかみつくようなキスをして、腰を強く打ち付ける。 「ふぁ…っ、それ…、深…ぁっ!」 「悪、い…お兄さんも、ちょっと、限界…かも」 イギリスの腰を掴んだ手に力が篭り、赤く痕を残す。 がむしゃらに腰を打ち付け、イギリスの先端からは白っぽいものがちょっとずつ溢れている。 「ひゃっ、も…ほん…、とに…イく…っぅぁ!」 それに手を伸ばし上下に扱くと、内壁が連動し、きつく締まる。 「んぁ…、だ、めぇ…ちゃ、ぅ…、も…いっ…ちゃ、…ぁあっ!」 極めつけにぐり、と先端を爪でひっかいてやればイギリスは射精し、互いの腹にイギリスの放ったものが飛び散った。 イギリスが射精した瞬間に今までよりも強く内壁が締まり、2、3回腰を打ち付けてイギリスの中に欲を吐き出す。 「あっ、ぁっ…!」 どく、と何回かに分けて放ったそれの刺激でイギリスは声を上げる羽目になり、ちょっとだけ吐精した。 はぁ、と荒く息を吐いているイギリスと目を合わせ、優しく労るように口付ける。 事後の倦怠感に任せ、ゆっくりとイギリスの上にのしかかり体重をかけると下から抗議の声が上がったが、気にせずに汗ばんでしっとりとした互いの体に心地よさを感じる。 そんな俺の様子に諦めたのかイギリスは体の力を抜き目を閉じた。 肌寒さを感じていた俺の体はどうやらイギリスという温もりをしっかり捉え落ち着いたようだ。 互いの心音が聞こえるほど密着して、事後の何とも言えない空気に身を任せる。 こういうだらだらした雰囲気はイギリスも嫌いではなく、大人しく抱かれている。 その様子に、冷えていたのは俺の体とか現実的なものではなく、心というかメンタル面だったんだと思う。 現にこうして安心しきっているイギリスの傍にいるだけで、さっきの寒さなんて忘れているのだから。 体より心を温めて、なんて、我ながら乙女思考をお持ちのようだ 09/03/15 なんていうか、Hしかしてないのに長ったらしい文章になってしまってすみません。 これワードで作成してから編集してるんですが、普通のSSで4ページくらいとかなのに、6ページ目突入してしまった。 |